『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
5 縮まる距離
≪葵side≫
『同居記念パーティー』は中々幕を下ろしそうに無く、
私は翌日の大学の授業を心配して、先に休む事にした。
潤くんはまだ2人に付き合わされている。
……ごめんなさい、私1人先に……。
だけど、私……お酒に弱くて、
とてもじゃ無いけど一緒になんて付き合ってられない。
深夜1時―――――。
シャワーを浴び、潤くんの部屋へ。
電気をつけ、部屋中を見回す。
………確かに広い。
医学書が沢山あるからって1人で20畳は広すぎる。
私はベッド脇にバッグを置いて荷物整理をした。
………本当にこの部屋で??
はぁ……凄く不安だけど仕方がない。
お姉ちゃんだっているんだし、大丈夫だよね?
部屋を薄暗くしてベッドに潜り込んだ。
って、何処に寝たらいいんだろう?
手前?それとも……奥??
とりあえず、何かの時にすぐ部屋を出られるように…
ここはやっぱり……手前側よね?
落ちるギリギリの所で縮こまって目を閉じる。
静まり返る部屋に微かに聞こえる…
お姉ちゃん達の賑やかな声が……。
寝たいのに中々寝付けない。
寝返りを打つ度に微かに爽やかな薫りが鼻腔を擽る。
この薫り……凄くいい匂い。
何だか落ち着く……。
私はいつの間にか深い眠りについていた。