結婚白書Ⅰ 【違反切符】
見合い開始


おばさんたちが去ると二人きり

さて どうしたものか・・・



時計を見ると 3時を少し回ったところだった。



「これからどうしましょうか 

僕は こっちには年に1・2回しか帰ってこないんで 気の利いた場所を

知らなくて・・・」



実際その通りだ。

帰省しても家にいるか 友達に会うかで休暇は終わる。

休暇は3日もあれば充分だ。



本当にどこも思いつかない。

彼女に聞くしかなかった。



「そうですね・・・水族館が出来たのを知ってます?

3月にオープンしたばかりですけど

あっ でもここからだと車がないと・・・」


「僕 車で来てますから そこ 行ってみますか?」



行き先があっさり決まり 地下駐車場へ向かった。



「おじゃましますね」



彼女はそう言って またにっこり顔で車に乗り込んできた。


わぁ この笑顔いいよ 笑うと 目が三日月みたいになってかわいいな~

おじゃましますって こんなコト言って車に乗る子は初めてだよ。






水族館への道を案内してもらいながら走る。

途中 懐かしい場所も通った。



「ここもずいぶん変わったね 昔は公園だったのに 

いつの間にこんなビルが建ったの?」



彼女は 俺の質問にも答えるが 自分からもよくしゃべる。

好きな映画の話なんて お互い好みが似ているとわかると大盛り上がり。


へぇー 面白い子だなぁ

女の子で俺の趣味にあわせてしゃべれるなんて 滅多にいないな

それに 地元の言葉で話が出来るのがいいよ

こんなに気が楽なんだ



就職して東京に行った頃 言葉のイントネーションに気を遣ったっけ

標準語って気が張るんだよな。




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