やわらかな夜
6―“それ”を許した日
その言葉を言ったあかりはなんて残酷なんだろうと、俺は思った。

「シュージは優しいから、できるよね…?」

優しい――それは褒め言葉かと問われたら、褒め言葉だ。

けど、今の状況にふさわしくない。

その褒め言葉は、俺を傷つけているのだ。

「――優しいって、なんだよ…」

そう言った俺の声は、まるで地の底で這っているかと思うくらいの低い声だった。

「俺は、優しさでお前に会いにきたんじゃない!

優しさでお前を好きになったんじゃない!」

そう言った俺に、あかりは悲しそうに笑った。
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