ヤサオトコ
6話 悪い癖
 

 自宅のパソコンデスクの空きスペースで、栗崎は辞表を書いていた。


 得意先の部長の申出を辞退した時から、会社にはこれ以上おれないと、栗崎は考えていた。


 房江との結婚を決意した時、会社を辞職する事も、栗崎は決意をしていた。


 課長のいびりから決別し、全く新しい人生を1からスタートする。
 生きて行くのが厳しい時代。この道は生易しい道では無いかも知れない。しかし、もう後戻りをする事は出来ない。



 前進あるのみ。


 前に歩き出す意外に、栗崎には道は無かった。
 栗崎は辞表を最後まで書き終え、それを白い封筒の中に押し込んだ。












 
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