ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
セカンド・トラップ

  不器用な心     梓side


週末の土曜。メールの着信音で目が覚める。
虚ろな眼差しで時計を見ると、まだ朝の6時を過ぎたところだ。

「……いったい誰が、こんな早くからメールしてくるのよっ」

前の彼氏と別れてから4年間、余程の用事がない限り、朝早く起きることは無い
に等しかった。
せっかく仕事が休みの朝くらい、誰にも邪魔されず自分の好きな時間に起きたい
のに……。

布団にすっぽり潜ったまま腕だけ出し、サイドテーブルに置いてあるスマホに手
を伸ばす。それを掴んで布団の中に引き入れると、目をこすりこすりメールの相
手を確認した。

「……えぇっ!! 遼さんっ!?」

一瞬で目覚め、布団から飛び起きた。


あの、おためし恋愛(月極契約?)で付き合うようになってから4日間、約束通
り、仕事が終わると店に必ず行っていた。

とは言っても、遼さんは仕事中なわけで……。

私といえば、特別彼女らしいこともせず、お決まりの一番奥の席に座り、ぼんや
りと彼の姿を眺めている時間がほとんど。
食事や飲み物は、遼さんが適当に(何故だか私の好物ばかり)出してくれる。彼
が作ってくれる料理やお酒は美味しくて、待ってる時間も退屈はしていない。

だけどっ!! 

仕事中だと言うのに、いきなり頬に手を当て「もう少し待ってて」とか、至近距
離で微笑んじゃったりするもんだから、凪っていた心が突然大時化!!
どうしてそんな風になってしまうのか、全く見当がつかない私は、動悸と目眩で
息切れ寸前状態。毎日こんなんで、私の心臓いつまで持つやら……。
思った以上に、気力と体力を消耗していた。
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