シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇隣人の素性


まさかこんな所で再会するなんて、夢にも思わなかった。


「へー、雨宮さんと野田さんって同じ高校なんだー! すっげー偶然!」


別にそこまで珍しい事でもないのに、アルコールのせいで妙に高いテンションになった同僚が言うから、ははって愛想笑いを作った。

私が通っていた高校は県内だし、会社だって同じ県内。
地元での就職なら、そこに同じ高校を出た人がひとりやふたり働いていたところで、ちっとも珍しい事じゃない。

ただ一点。
私と“野田さん”が、元恋人同士だって事実を除けば、の話だけど。


「今、24って事は、同じ学年? うわー。すげー。お互いの恋愛事情とか知ってたりするんじゃないの?」
「……はは」


愛想笑いがひきつる。
同僚のテンションについていけずにビールを口に運んでいると、斜め前からの視線に気づいた。

意味ありげな視線を送ってくるのは、野田聡。
私が付き合った初めての男だ。




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