For 10 years
君の想い
.



花火大会から約二週間後に訪れたお盆。


お盆は書き入れ時。


だから俺は休みなく働いた。


そんな中、進藤さんに、絢華ちゃんが食事しに来ていることを教えられたから、暇を見つけてホールへ出た。


でも、一瞬足を止めた。



……誰だ?



絢華ちゃんの隣に男が座ってる。


絢華ちゃんが、男とファミレスへ食べにくるなんて、今まで優太くん以外はいなかった。


友達か?


よく見ると……


絢華ちゃんの前には、親友の紗羽ちゃんが座ってる。


その友達か?


にしても……


あの座り位置。


嫌な意味で、胸がどきどきしてきた。


そんな動揺した胸中を隠しながら、絢華ちゃんが座るテーブルへと近づく。



「あっ、はやとだ!」



蒼太が俺に気付いた。



「蒼太!外では呼び捨てにしないの!」


「どうして?」


「子供が大人を呼び捨てにしちゃいけないんだよ」



蒼太はママに怒られたからか、シュンとしながらうつむいた。



「蒼太、いっぱい食べたか?」


「……」



よほどショックだったんだろうか。


俺が話しかけても、うつむいたままでなにも答えない。
< 71 / 119 >

この作品をシェア

pagetop