あなたには音をあたしには色を
1.



例えるなら、ピカピカに光る銀の針。


………


光郎(ミツロウ)のギターを初めて聞いた時の衝撃を、あたしはそんな風に言葉で表現した。


「銀の針が? パラパラ降ってくんの? あぶないなあ」


友達の一美(カズミ)はライヴハウスの帰りのマックで、興奮しているあたしを一瞥しながらそう言って笑った。


「ちーがうの! 尖端はね、何かを傷付けるためにある訳じゃないの! ただ、刺激のためだけにあるのよ! 」


興奮しているあたしは、多分言っている事がよくわからないだろう。

一美はいつもより、面倒くさそうな顔をしてあたしの話を聞いている。


「しっかし、全然知らなかったなあ。光郎が、あんなにすごいギターひきだったなんて」


あたしは落ち着きを取り戻すように、思いっきりダブルチーズバーガーにかぶりつく。


「そう? 有名だよミッチーのギター」


「そうなの? 知らなかった! あたしだけ?」


あたしはさらにまた気持ちを落ち着かせようと、今度はポテトを頬張る。

さっきからまだずっと、あたしの鼓膜はギューーンと緊張したままだ。




< 1 / 28 >

この作品をシェア

pagetop