あの頃のように
2014年 11月
(ここか。

――K***社は)


時刻は午後6時半すぎ。

すっかり日が落ちて、きらびやかなライトアップが木々に灯されるこの時間。

出先から帰る途中でたまたま通りかかった小奇麗なオフィスビルを見上げる。


K***社。

このたび、うちと経営統合することになった会社だ。



(……行こう)


特に用事があるわけじゃない。



去りかけたそのとき。

ビルの出入り口からするりと出てきた姿に気づき、思わず息を吸い込んだ。
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