明日へのメモリー

 さっきから樹さんのことばっかり考えてる!

 未練がまし過ぎ!


 わたしは頭を振って自分を叱ると、手にしたプレゼントを眺めた。

 それじゃ、彼、帰ってるんだ、日本に……。

 七か月? もっとずっと長いこと、会っていなかった気がする。

 その間に、アメリカも日本も世界も大変なことになってしまった。

 でも、それがわたしの人生にまで、こんなにも響いてくるなんて、想像もしなかったけど。


 いい機会じゃない? これでイヤでも卒業でしょ、樹さんから……。

 皮肉に考えながら、ゆっくりとラッピングを解いてみる。

 見るなり目を丸くした。ビロード張りの宝石ケースに、大きなルビーを一粒あしらった金のペンダントが納まっている。呆然と手に取ってみた。

 こんなの、いくらするんだろう?

 そりゃ、業界最大の会社勤めだけど、そんなに簡単に買えるもの?

 第一、今のわたしが貰っていいはずがない……。

 でも少なくとも、まだ気にかけてくれてるってことよね……。


 途端に、話したくてたまらなくなった。お礼を言って、今の状況を説明したい……。

 衝動的に携帯を取り出し、コールしてみる。彼もすぐに出てくれた。

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