もっと美味しい時間  
スパイシースイーツな一日

寝坊が定番の私が、珍しく早く起きてしまう。
今日のことが気になっているのか、はたまた、隣でまだぐっすり眠っている慶太郎さんが気になっているのか……。

今でこそ可愛い寝息をたてて寝ているけど、一緒にベッドに入った時の大変だったこと大変だったこと……。

“今晩は何もしない”約束だったのに、

『抱きしめるだけで何も出来ないなんて、生殺しだっ!』

とか何とか言って、子供みたいに駄々をこねるんだから……。
ほんとに、あのクールで冷静な慶太郎さんはどこに行ってしまったんだろう。
最近の慶太郎さんには、困り果ててしまう。
だからと言って嫌いになるはずもなく、けど甘やかしてしまうのもどうしたもんか……。

『今晩我慢しないと“お楽しみ”とやらが無くなるけど、いいの?』

ちょっと意地悪いことを言ってみた。
それは……と言葉に詰まり、コロコロ表情を変える慶太郎さんは面白い。
私にも、Sっ気が芽生えてきてしまったのかしら。

『折角、慶太郎さんの言うこと、何でも聞こうと思ってたのに』

慶太郎さんの目が、怪しく光る。
ヤバいっ!! 
あまりにも慶太郎さんがしおらしい態度を見せるから、要らないことまで口走ってしまったっ!!
って、今さら後悔しても後の祭りだ。
慶太郎さんお得意の勝ち誇ったような顔を見せると、抱いていた腰をグッと引き寄せた。

『その言葉、忘れるなよ。いいな?』

その妖艶な瞳に、ごくっと唾を飲み込む。
私はその瞳に弱い……。



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