【完】I LOVE YOUが言えるまで
episode 3
久しぶりに実家に帰って来た美緒。
チャイムを鳴らすと”はーい”と母の元気な声が聞こえた。
ドアが開いた瞬間、母が抱きついてくる。
「美緒おかえりー!逢いたかったー」
これは母の愛情表現で、美緒が家を出てから始まった。
『ただいま、遅くなってごめん』
「さっ、入って、お父さん待ってるから」
母はそう言って、美緒の荷物を持ち中に入った。
実家に帰って来ると、普通は懐かしいとか落ち着くとか思うのだろうが、美緒は懐かしさもなければ、逆に落ち着かないと思ってしまうのは何故だろう…。
一人暮らしが長いと、こんな風に思ってしまうのだろうか…。
これは、寂しいことなのでは…。