とある神官の話
3 「異常気象だそうですよ」




  * * *





 あげられた報告書に目を通す。といってもそれは本人ではなく、別の人物が作成したものに少々付け加えたもの。本命はすでに上の連中に出されている。が、一応出されたそれに目を通していく。



 ―――よくもまあ無事で。

 様々な体験をという一つなのだろうが、よりによってヤヒアが出てくるとは。殺害されても可笑しくはなかった。まあ、ランジットといいヨウカハイネンという、彼らがいたからというのもあるだろう。
 ランジットはともかく、ヨウカハイネンは俺でも敵にまわしたくない相手だ。



 何故ミノアにシエナを行かせたのか。ブランシェ枢機卿から頼まれた際には驚いた。

 異能持ちであるシエナは、その中でも最も珍しい"魔術師"の力の持ち主である。他の異能持ちよりも貴重な人材といえよう。だから、"煩い"ようだ。是非私の部下に、といったような輩だろう「あ?」




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