長い夜の甘い罠【完】
五、良き婚約者を演じて


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私は一人、キーホルダーも何もついていない鍵をじっと見つめていた。

男と婚約してから預けられた男の部屋の鍵。

今まで一度も使う事等なかったけれど、漸く使う時が来た。

普通の恋人達なら、合鍵を貰ったら嬉しくて直ぐ使うもの。

けれど私は今まで一度も使った事がない。これも計画の内の一つ。

ツンケンした女を演じた後は、可愛らしい良い女を演じる。

そう、これはあの男を私に惚れさせる為の一つ。


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