「同じ空の下で…」
第3章 独り 時々 誰か
■第3章 独り 時々 誰か




その日、私のやる気と熱意(?)が実り、無事条件にあう物件を探し、仮予約までこぎつけた。

会社から程よく近く、繁華街もそれなりに近く、治安もよさそうな物件だった。

一人暮らしには無駄に広い2LDK。

…贅沢しなければ、ワンルームで充分なんだけど…。


物件見学をした際に、日当たりが良かったのがとにかく気に入った。

そして比較的新しく、エントランスキーは暗証番号を登録する方式のものだった。



あとは…

亮太のアパートから自分のものは運び出そう…───


時間を見ると待ち合わせ時間が迫っていたので、由美に電話して場所を確認して、その場所へ向かった。


同級生たちは活動拠点としてちゃんとした'事務所'を構え、イベントへの打ち合わせや会議などの際にはここを使おうという事になった。

「つやか~…あれれ?どうしたの、ここ…」

由美が私の顔を見て目を丸くした。

「あれ?解る?やっぱり…」

「うん…まぁ…でも、気にしなければ気にならない…かな?」

「…昨日色々あって…。」

由美にそれとなく、事情を話した。


「女に手を挙げる男は最低だね」

「でも、私も悪いよ、昨日はやり返したし…」

「あのね、聞いたことがあるんだけど、DVってさぁ、繰り返されれば繰り返すほど、女の人は『この人は私にしかこうする事が出来ないんだ。ああ、かわいそうに…これはきっと彼からの愛なんだ…』って思ってしまって、情が湧いて、結局離れられなくなっちゃうんだって。」


…それは…、確かに私の中にもそんな念は少なからずあったと思う。
亮太とは『情』で繋がっていたのかもしれない。



「それって、歪んでない?だから艶香の決断は正しいと思うっ…!って私は思う!」


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