世界が終わる時の景色
また、いつか



あの夜の出来事は、まるで無かったかのように過ごしている。


「志乃お嬢様、お父様が帰ってこられるそうです」

「…え?あれからまだ一か月よ?…早くない?」


目線が合ったふたりが思ったのは、同じ事。

きっと、婚約者に会わせたいのだ。


「…いつ?」

「今月中には、との事でした」

「そう…」


途端に志乃は、机の上に広げていた教材を片づけ始めて。


「…お嬢様?」

「日向、支度して」

「は?」

「買い物するわよ」



―・・・



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