「同じ空の下で…」
第4章 空虚な乱心
■第4章 空虚な乱心




毎回毎回、瞬のペースに押されながら、私と瞬はそつなく企業周りを続けていった。

あの日以来、冬は寒さを増し寒風に晒されながらのバイクでの企業訪問は、無論難しくなっていった。

故に、ある時は電車、またある時は瞬の車で企業廻りをして、何とかリストに掲げられていたおよそ100件をまもなく達成となりそうだった。


「・・・・一日くらい、さぼりてーなぁ・・・・。」


帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれてクライアントとの約束時間に間に合わなそうだった為、先方に電話をかけ今日は約束の時間に伺う事が出来ない…そんな事を電話で連絡して、丁度電話を切った辺り、瞬はハンドルにだるそうにもたれかかりながら呟いた。

「だめだよ、あと少しだし、頑張ろう。」

瞬から貰ったスワロフスキーの仔犬を眺めながら、お決まりの台詞を言うかのように瞬に言う。

「俺ら、頑張りすぎだって…」



″だって、私、さっさとあなたと関わる任務を断ちたいのよ!?″



・・・・その言葉(感情入り)は、当然の如く、自分の胸にしまいこんで、企業リストを見ながら残り件数を瞬の助手席で残りの件数を指で追いながら数えていた。


「あ~あ。めんどっちいなぁ・・・・」

全く動く気配のない渋滞に苛立っているのか、瞬はハンドルから手を離し、大きく伸びをしながらあくびをした。

そして、さりげなく私の左肩に左手を乗せてきた。



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