「同じ空の下で…」
第6章 countdown・・・・
■第6章 countdown・・・・




「さて、このまま2人で何処かいきますか!」

「…な、何を言い出すの?皆が待ってるでしょ?」

少し早めの忘年会なのか、歓楽街はいつもの週末の夜よりも人がやたら行き交い、手でも繋いでなければ瞬とはすぐにはぐれてしまいそうだった。

私は瞬に手をひかれるままに、歩幅をあわせ、一生懸命着いていく。



「さあ、艶香の言い分聞くよ。で、どうしたんだ?」

「瞬はいつも、強引に決めちゃうんだから。」

「そうか?例えば?」

「今日だって…私の答えを待たずに、駅で待ってるなんて……」

「あ、迷惑だった?」

「そうじゃないけど…。」

「じゃあ、いいじゃん。」

「良くないよ。」

「だって、艶香をからかうの面白い。あ、そうだ!」

「なによ?」

「メール見た?」

「ううん、見てない」

「じゃあ、後で見て。」

「分かった。」

普段、滅多にメールなんてくれない癖に一体何だと言うんだ…そう思いながら、瞬と手を繋いだまま、はぐれないように相変わらず、瞬の歩幅に合わせて私は歩く。

「着いたっと。」

そう言うと、パッと手を離し、私の顔を見る瞬。

「……な、なに?」


思わず身構えると片方だけ口角を上げ不適に笑い、私の前髪に触れるか触れないかのキスをして、瞬はさっさと一人で店内に入って行った。





< 84 / 646 >

この作品をシェア

pagetop