蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
◇傷さえも、きっと



「―――本当だよ。俺の自制が利かなかったらどうするつもりだったんだよ」

目が覚めたのは、課長のベッドの上。

あの後、「何もしないから泊まっていけよ」って言った課長の言葉に甘えて泊まらせてもらった。
終電もなくなってたし、第一お金もなかったし。

押し付け合いになりながらも結局譲ってもらったベッド。
課長の香りがする部屋なんかで眠れるわけないって思ったのに、それなりにきちんと眠ることができた。
課長とふたりきりで時間を過ごしたりしたから、気付かなかっただけで結構疲れていたのかもしれない。

カーテンの隙間から覗く日差しがまぶしい。

「……がイヤな思いするだろ。俺はよくても。
第一、俺にそんな趣味はない」

……何の話をしてるんだろう。
浅い睡眠しかとれなかったせいでぼんやりとしている頭と耳は、課長の言葉をところどころしか拾ってくれない。
パソコン前の椅子に座ってる課長は、私に背中を向けて誰かと電話していた。


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