淡い初恋
第三章

あなたが恋しくて・・・

千葉にある外語大学に通うため私は一人暮らしを始めた。英語漬けの毎日だったけど苦ではなかった。特に発音の授業が一番楽しかった。中高では習わなかったため、先生から正しい発音を教わった時は驚いた。

「GO」の発音は「ゴー」ではない。「ゴォゥ」である。「O」は「オー」ではなく「オウ」なのだ。「busy」の「bu」の発音は「ビ」ではない。「イ」のように口を横に開いて発音するのでなく小さく力なく「イ」と言うのだ。超ド田舎の地方の人が「花火」を「ハナベ」と発音するときの「べ」に似ている。「busy」も「ベズィ」と小さく力なく発音するのだと。

また、子音の次に母音が来れば、重なって発音するし、米語を習っていたため「t」と「d」の発音がラ行になるとも知った。「bad idea」は「バッドアイデア」ではなく「バッダイディア」でもなく「バッライディア」等々。

仲の良い友達も増えてキャンパスライフは充実していたけど恋人は出来なかった。

「じゃぁね、バイバーイ」と手を振って私は駅に向かった。すると、駅に向かう途中、高校生カップルと通り過ぎた。

私は思わず振り返り、その高校生カップルを見つめた。
「やっだー!もう何これ~。」「だろ?マジ傑作だよな。」と彼の携帯を見ながら彼女と彼氏が楽しそうに会話をしていた。

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「俺が教えてやろうか?」と私を抱き寄せニヤつきながら彼が聞いてきた。

「い、いらない。一人で勉強するから。」

「なんだよ、遠慮するなよ。」

「違くて・・・。」

「じゃぁ、なんだよ。」

「龍くんといるとドキドキして勉強に集中出来ないから。」

すると龍くんは、道端で急に私を抱擁してきた。

「キャ~!やめて~。」と私は彼の胸の中で悲痛な叫び声を上げた。

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龍くん・・・。
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