「わかってるってば」
分かれ道?
春風の勢いに任せて・・・私はとうとう賞に無事エントリーできた。

「元気かな・・・ゆうき」

忙しさからか私ははゆうきともあまり連絡せず

ただただ

自分と向き合っていた。

賞の結果は夏だ。

「お疲れ様!」

私が原稿を出してホッとしたこの時期に

ゆうきは私にサプライズを計画していた。

「これ、見て!!」

「えーーー」

「うん」

大量のパンフレットを持ってきて

テーブルにバサっと置いた。

「ハワイ」

「ハワイで6日間」

「ねえ・・・ハワイって、ゆうきぃ~」

結局・・・それを置いて、ゆうきはバイトに行ってしまった。

「へぇ・・・ハワイかぁ~」

私の頭の中は常夏のビーチでいっぱいになって

ゆうきと束の間のバカンスができる淡い期待。

・・・ってマジか・・・

いつになったら行けるのか?

カレンダーを必死に見てスケジュールを確認した。

私はそれでも、そんなゆうきの気持ちが嬉しくって

ゆうきとのハワイ旅行を夢見ていた。

その頃、ゆうきのバイト先では不運だともいうのか・・・

経営していたオーナーが夜逃げしたという。

「おいおい、店の借金まだ返済しきってないぞ。」

各店舗では緊急会議たる騒動。

不動産オーナーは怒りをあらわにしてもはや暴動寸前・・・

これはビル全体の危機に発展しそうな勢いだった・・・

給料未払いも免れない。

ゆうきたちも自主退職を迫られていた。

「クソっ・・・」ゆうきはとめどない気持ちを凜に綴った。

それを知ったのもLINEをまた再開していた私たち

ゆうきの感情むき出しの内容は心に突き刺さっていて・・・

「バイト・・・辞めちゃう?」とか・・・

イマイチいい慰めができない私は日に日に絶望感に浸っていく。

「あーー。もうだめかも」

ハワイへの希望も途絶えてしまうっていうのか。

今はゆうきをそばで支えてあげたかった。

それでも・・・

なんで

こんなタイミングって時に

更に運命は不穏なほうへ行くっていうのよ。

「やだよ・・・そんなの・・・」

私はまるでこの世の終わり?ってほど


落ち込んだのを覚えている。

「ねえ・・・本当なの?わたしたち・・・」

ゆうきに無性に逢いたくなった。

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