散華の麗人
王として

茶屋

風麗達は成田へ向かおうとしていた。
(……刺客のこともある。油断は禁物だ。)
先日の刺客を思い出す。

刺客は成田国の者だった。
だが、口が堅く、吐き出させようとすると直ぐに自害した。
おそらくは、戦の作戦と日程を聞くつもりだったのだろう。
後で警備を確認してみると、不注意にも裏門の見張りが居なかった。
戦準備とはいえ、あってはならないことだということだ。
報告すると、与吉郎が警備を改めた。

(あれ以外にも何かあるに違いない。)
風麗は気を引き締めて、気配を消した。
そして、一正の護衛を続ける。
「ハッ!」
千代が馬を走らせると、一正もそれに続いた。
「……そんなに、手際よく走らせるとは。」
「ふふふっ、これでも、文武両道なのですよ?」
一正に自慢げな返答をする。
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