【続】隣の家の四兄弟
隣の家の幼馴染み


「ただいま」
「あの……また、おじゃま……します」


私は包帯を巻いた手で、ポテトサラダが入ったお皿を持って再び綾瀬家に戻った。


「え! なに?! どこで……って、美佳の家しかないよね?! 聖二にぃ、結局美佳んちに行ってたの?」
「何?! 美佳んちだと?! 一体なにして……」
「まぁまぁ、落ち着け」


孝四郎くんと三那斗に玄関先で、わんわん迫られ、リビングの方からひょっこり顔を出した浩一さんが、窘める。

聖二は慣れてて、そんな2人をかわしてリビングへと歩いていく。


「あーミカ! ciao!」


浩一さんに続いて、奥からチハルも顔を出す。

私もだんだんと孝四郎くんと三那斗の扱いに慣れてきたので、今の質問はなかったことにして、そそくさとリビングに入った。


「あの、お待たせしました」
「ううん。聖二から電話来て驚い――――って、美佳ちゃん、どうしたの?」


テーブルにお皿を置いたときに、浩一さんは私の包帯を見て尋ねてきた。


そりゃ、目立つよね。でもなんか、料理出来ない子みたいでちょっと悔しいなぁ。まぁ実際本当に料理中にした怪我なんだけど。


「えぇと……ちょっと火傷を……」
「え? 大丈夫なの?」
「はい。すぐに冷やしましたから」


冷やした時に聖二に手を掴まれて、そのあとこの包帯を巻いてくれたのも聖二ってことを思い出しただけで顔が赤くなりそうだ。


「Io vedo(なるほど)、やっぱりセイジとミカがコイビトか」


なのに、こんなタイミングでチハルがそんなこと言うから、ますます顔が熱を帯びる。


「あのあと、だーれもぼくに教えてくれなくて。でも二人でいなくなっちゃったし。それと今のミカ見て、確信した!」


そしてチハルはソファに座る聖二を見て、私の肩を叩きながら陽気に話す。


「ミカ! セイジをよろしくねー。ぼくのcaro amico(大切な友達)だから」
「『ぼくの』……なに?」
「Oh! えぇと、大事な幼馴染み!」


幼馴染み、か。
いいな、そういうの。すごい羨ましい。


「さ、ぼくお腹空いちゃったー。食べようー」


元々綾瀬家と交流があっただけに、もう馴染んでるチハルが先陣を切ってテーブルについて言った。


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