まほろば【現代編】
【ハルカサイドⅠ】
○プロローグ

闇夜の中を二つの人影が走り去っていく。

前方を走る人物は、細身で幾分背の高い人物で、まったく息を切らすことなく走り続けている。

一方、後方を走る人物は背が低く華奢な体つきは子供のように見える。

「はぁはぁはぁ……」

後の人物は耐え切れなくなったのか、立ち止まり荒い呼吸を繰り返している。

その気配に気づき、背の高い人物が立ち止まると後を振り返った。

「おい、ハルカ。いい加減慣れろよな」

ハルカと呼ばれた人物に月光が差す。

あどけない表情を残す、小柄のかわいらしい少女だった。
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