先天性マイノリティ
Minority-4.慟哭



(SIDE、Syuya)






「男の癖にみっともなく群がってるあんたたちより、イマムラくんのほうが数億倍格好良い!」



──彼女が放った斬新なフレーズを、俺は死ぬまで忘れることはないだろう。


高校時代に虐めに遭っていた俺を救ってくれた女の子。


その人の名前は、キサラギメイちゃんという。


俺が入った職場にそっくりな人がいて、それが本人だとわかったときは年甲斐もなく運命だと思った。

でも、話し掛ける勇気が出ない。


キサラギさんは俺のことなんて忘れているだろうし、興味もないだろう。


…こんなに年月が経過して外見も変わったのに、俺は弱虫な"イマムラシュウヤ"のままだ。




「シュウヤくんって彼女いるんでしょう?もてそうだもんねぇ」


ホシノという女は隣を陣取り一方的に会話を弾ませている。

休憩中、彼女に捕まるといつもこうだ。

自分のことをいい女だと勘違いしている自尊心の強い典型。

俺が最も苦手で信用しない人種第一位のタイプ。

猫撫で声の口調にも気合いの入った巻き髪にも、全く興味を惹かれない。




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