名も知らぬ命
名も知らぬ命
『名も知らぬ命』



夏の夜

蛍光灯の下を

くるくると

螺旋を描き飛ぶ

1mmにも満たない

名も知らぬ虫


その名を誰が名付けたか
その名を己が名乗ったか


描く螺旋の懸命なこと

描く螺旋の儚きこと


くるくる
くるくる
くるくる
くるくる
回る回る


きっと
夜が明ければ
事切れて
干からびたように
もぬけの殻

魂のもぬけの殻


くるくる
くるくる
回り回り

その命は
転生するか

くるくる
くるくる
廻り廻るか


名も知らぬ命



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