お嬢様になりました。《番外編》
★ギクシャク
ドレッサーの鏡に映る自分の姿。


好きな服を着て、好きな髪型をして、好きなメイクをして……それなのに心は晴れない。


最低な顔。


化粧でも誤魔化せてない。


カルロが招待されるくらいだから、パーティーには有名なモデルさんとか俳優さんとか、たくさん居るんだろうな。


そんなパーティーに私なんかが行ってカルロに迷惑をかけてしまわないか、心配だった。


ーコンコンコン。



「はい」



ドアが開き、荒木さんが姿を現した。



「ベラルディ様がお見えでございます」

「分かりました」



カルロとパーティーに行く事は、一応隆輝には断りを入れた。


直接話す勇気はなくて、メールを送った。


でも返事はなくて、学校で顔を合わせてもパーティーの話をされる事はなかった。


もう私の事なんかどうでも良くなっちゃったのかな?


他にいい人が見つかったのかもしれない……。


考えれば考える程後ろ向きになってしまう自分が嫌。


片想いの時よりも臆病になった。


隆輝を失いたくないのに、それをどう伝えていいのか分からない……素直になれない私は可愛くない女だと思う。



「せっかくお洒落をなさっておりますのに、その様なお顔をされていては勿体無いですよ」

「え? 酷い顔してますか?」

「今にも泣いてしまいそうなお顔をなさっております」

「……緊張してるからかもしれません。 楽しむ事だけを考えます」



無理矢理笑ってはみたものの、荒木さんにはバレバレだろうな。






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