サヨナラのしずく
俊平、ありがとう
時間なんて全く気に止めていなかったけど、外へ出ると太陽が沈みだしていて、長い時間ホテルにいたんだと今更ながら気づいた。



ホテル街を出て、繁華街まで戻ると若者たちで相変わらず賑わっていた。



あたしは俊平に肩を抱かれ歩き、いつもと少しだけ違うことに気づいた。



いつも繁華街を俊平と歩くと、俊平に頭を下げる人たちがけっこういる。


でも今日は何故かいつもより少ない。



いることはいるけど明らかに少なすぎる。



そんな異変を気にしながら歩いているとクラブの前まできていた。



外で立っているはずのスーツの男の人たちがいないことを思うと、まだクラブは空いていないんだと思う。



それに“close”の札がかかっているし。



それなのに俊平はお構い無しにクラブの扉をあけ、中へ入っていこうとする。




< 98 / 358 >

この作品をシェア

pagetop