サヨナラのしずく
お前が好きだから
初めて俊平の部屋に入った。



そこは昔、飲み屋さんだった店舗を改装していた。



外国みたい靴のまま入っていくその部屋には、ベットとソファーとテーブル。



そして、飲み屋さんだった痕跡が残るキッチンがあった。





「シャワー浴びてくるから待ってろ。いいな?ぜってぇどこにも行くな」


「うん」


「一歩も動くなよ」


「うん、わかったよ」




そう言って、シャワーを浴びにいった俊平はすぐに出てきた。



余程あたしがいなくなりそうで心配なのかな。



そう思うとちょっと面白かった。




「ニコニコしてどうした?」


「別に」


「別になんだよ、ちゃんと言えよ」





俊平はそう言って、上半身裸で濡れた髪のままあたしの横に座った。





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