ジャックランタンの未来に、ひとつの魔法を。
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【バイト1日目】 ~王子様の正体~


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バスを降りた。
学校から電車で5分、バスで20分くらいのところにある遊園地だ。

着いたら入口ではなく、ちゃんとしたスタッフ専用の事務所に入るように言われていた。


「き、緊張する……!!」


この間面接に行ったときは水曜日の午後だったし、なかなかお客さんも入っていなかったから、金曜日の午後である今日は、この間よりも人が多い。

もちろん、スタッフさんも。

明日はお休みだから、みんな遊びに来てるんだろうなぁ。



16時に待ち合わせだった部屋に近づく。


「…あ、あの!失礼します……!!」


時計は15時55分。ためらってなんかいられなかった。


「はーい、どうぞ~」


優しいおじさんの声がして、「あ、この間の面接官の人だ」と分かった。

優しかった人だから、すこし心が落ち着いた。



「あの、この間面接にきた朝比奈です。今日からよろしくお願いします…!」

「あぁ~、君ね。来てくれてありがとう。早速だけど、今日から仕事に入ってもらうから。マニュアルは読んできた?」

「は、はい」


マニュアル、って言っても、そんな大したことは書かれていなかったけど。





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