愛し*愛しの旦那サマ。
6・29記念日事件簿


五月×日 晴れ

PM20:03 F、臣くんの隣りをキープして帰宅してきた。
Fのマンションエントランス前に着いたのに、数十秒、臣くんの背中を見つめた後、やっとマンションに帰っていくF。


五月×日 晴れのち曇り

PM20:07 Fだけでの帰宅。臣くんが事務所を出る直前位の時刻を見計らい、電話をして仮病を振る舞い、不必要な整腸剤を薬局にて買ってきてもらうという、Fを撒く密かな作戦が功を奏したようだ。


六月×日 曇り

PM20:03 今日もまたFは臣くんにくっついて帰ってきた……何時ものように臣くんの後姿を見つめた後、マンションに帰っていくF。


六月×日 曇り

PM20:02 今日もまたFが臣くんにくっついて……


六月×日 曇り

PM20:07 今日もまたF……


F……F……


F……!


二十六年間生きていて、これほどまでに“F”というアルファベットに敵意を覚えたことはない。


「だぁー…っ!!!なんか、自分で書いてて腹が立つっ!もおー、やーめたっ!!」


ゴールデンウィーク明けに、雑誌の整理をしていたら、ひょっこり出てきた付録のメモ帳……

何か書くことはないかな~、と、何気なくペンをとって文字を書き始めたら、無意識にバルコニーからのF……秘書藤枝、目視オンリーの追跡調査日記になってしまっていたという……

ちなみに、Fと表記しているのは、『秘書藤枝』という文字はトータルの字画が多いので簡素化したかったという、ただそれだけの理由です……


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