たったひとりの君にだけ
chapter.1



『こんな美味いラーメン、生まれて初めてっす!』




そう口にした奴に、一週間前もここに足を運んだって言ったくせに何言ってんだ、第一ここはあんたの行き着けの店でしょ、と突っ込みたくなった。

しかも、いつも頼むのはネギ味噌チャーシュー大盛(半熟卵追加で2個乗せ)で、これを超えるラーメンには未だ嘗て出会ったことがないって自慢げに言っていたのは何処のどいつだ。

一週間で味が変わるか!


だけど、それらの言葉を私は全て飲み込んだ。



心底嬉しそうに極太麺を啜る奴を見ていたら、そんなことどうでもよくなってた。



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