禁域―秘密の愛―【完】
4:純朴な想いをのせた幸せ
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そして、月日は流れた。
高校2年の長かった夏休みも終わり、今日から新学期が始まった。
そして………
「ーーー瞳」
「巧………!」
桐谷君ことーーー、巧と付き合いだしてから約一ヶ月が経とうとしていた。
かれんちゃんと藤咲君の仕掛けた罠に私が落ちた日。
巧は、藤咲君に襲われかけていた私を窮地で救ってくれた。
後から聞いた話だと巧はあの日、久々におばあちゃん家に行ったらしく、遅い時間に学校へ呼び出された私の話を聞いて不審に思ったらしい。
そして、警備員の方に探し物をしていると嘘をついて、様々な教室の鍵を借りた。その結果、私を見付けてくれた。
………好きだと言ってくれた。
あの日から………、私は巧の隣にいる。
巧の"彼女"として………。
それは、もうこの上なく幸せな日々だ。
「ごめん………。待たせたね?」
「気にするな」
巧は、そう言って微笑むと私の手を掴んだ。
あの日から、当然のように握られる手。
増えた二人きりで一緒に過ごす時間。
隣にはいつも優しく微笑む巧………。
ーーー私、こんなに幸せでいいのかな?