元恋人の甘い痛み【完】
十九、決断と喧嘩

財前の脅しを受けてから一週間が経った。そろそろ返事しないと、いつメディアへ伝えられるか分からない。


「…里…里……優里」

「え、あ…な、何?」

「最近また心此処に在らずだな」

「御免なさい。少し考え事をしていて…」

「一人で悩まずに言ってみろ」


財前に脅されている事なんて、言える筈ない。言ったって何も解決しないし貴方の仕事を増やしてしまうだけだもの。


「何でもないわ。有難う雷牙」

「……そうか」


雷牙は納得していないのか表情を曇らせつつ、頷いた。

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