偽りの愛は深緑に染まる
隠れた本性

 金曜の晩。いつものように光流さんからメールが届いた。

 内容を確認して、返信する。明日午後2時に、同じ場所で待ち合わせとのことだった。

「佐渡山の性格が光流さんみたいだったらなあ……」

 いやちょっと待て、もしそうなるとどうだろうか。多分あの顔で光流さんのような性格なら、ころっと惚れるだろう。

 ……あんなに高いお金や高い服を貰っておいて会社に好きな人がいるなんてのは、酷くはないだろうか。

「うわ……変なこと考えた」

 やめだ、やめ。風呂に入ろう。

 金曜日は高めの入浴剤を入れる。マッサージオイルを使って脚をマッサージする。週末の愛人業のために、念入りに準備する。

 それにしても、この間と同じ場所で待ち合わせなんて、佐渡山に会ったりしないだろうか。

 
< 32 / 60 >

この作品をシェア

pagetop