赤い流れ星
side ひかり




「ひかり、次はあれに乗ろう!」

「うん!」



次の日、私達は早起きして近隣の県のアミューズメントパークにでかけた。
借りる家にもだいたいの目星はついたから、今日は息抜きに思いっきり遊ぼうと兄さんが提案し、私達は朝早くから民宿を出て、開園と共にパークの中に走り込んだ。
実家の近くのものとはやっぱり違ってて、目新しいものをみつけては私達は様々なアトラクションを楽しんだ。
お昼になると、兄さんは用があるとか言ってどこかに行ってしまい、私とシュウは二人でパークに残されて……
園内を歩く時はずっと手を繋いで、まさに、甘いデート気分。
シュウがかっこいいから、若い女の子達がとても羨ましそうな目で私を見てた。
優越感よりも恥ずかしさの方が先に立つ。
以前よりは私も服装に気を遣うようになったし、体型もスマートにはなったけど、やっぱりシュウと釣り合う女には程遠い。
ふとショーウィンドウに映った自分の姿を見ると、それを痛感して情けなくなってしまう。



「今の、すっごく面白かったなぁ……
ひかり、次はどれに乗る?
それとも、どこかでちょっと休む?
今日は朝からずっとバタバタしてたもんな。」

「私なら全然大丈夫だよ。
シュウが行きたい所を決めて!」

「そうか?
じゃあ……あれ、見に行ってみようか?」

シュウは子供みたいに目を輝かせて、ちょっと離れた所を指差した。



どのアトラクションにも長い行列が続いてる。
平日だっていうのに、なんでこんなに人が多いんだろう?
並んでる間も、シュウと私は他愛ないことを話し、そして笑った。
そんな私達の姿は、傍目にはきっと幸せなカップルに見えてると思う。
なんであんなかっこいい人があんなさえない女の子と…とは、思われてるだろうけど、それでもきっとラブラブなカップルがデートを楽しんでいるようには見えてると思う。



だけど……
私達には、他のカップルにはない大きな悩みがあって…
それも、かなり切羽詰った状態だ。



そんなこと…ここにいる誰も気付いてないだろうけど……



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