眠り姫はひだまりで【番外編】
blue leaf



「あはははは!唯人、馬鹿だろー!」


教室の真ん中の、いちばん騒がしいところ。

人が集まって、わいわい話をしてる。

男子だけじゃなく女子まで一緒になって、楽しそうに。

その中心にいる男の子が、大きな口を開けて、これまた大きな声で笑った。

「いや、も、おかしいって!ゆいと、おかしいって!あははっ、腹いってえ!」

ほんと、こっちが清々しくなるくらい、爽快に笑うよなぁ。

なんて、遠巻きに見つめながら思う。

目の前で、この前彼女に振られたという話をする日野唯人くんに、彼は大袈裟なほど笑う。

それにつられて、周りも笑う。

彼女に振られて悲しいはずの日野くんも、おかげで笑い話になったからか、吹っ切れたように笑っていた。

…彼が笑えば、みんな笑う。

楽しそうに、笑う。


「…ほんと、素敵。ね、さゆり」


隣で携帯を触りながらお弁当を食べる親友の吉澤さゆりに、私はふふっと笑って言った。


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