彼が虚勢をはる理由
02. それじゃ守りきれない

いち。






中間試験を何とか終わらせた数日後、クラスで席替えがあった。
席替えは新しく友達が増えるし、親しくなかった人の意外な一面を知る事が出来るから、私は好きなんだけど。
その席替えで、私は夏野君の隣りの席になったんだ。

相も変わらず、夏野君はクラスの子とはあまり仲良くしてないみたいだけど、時々は私と話してくれたり、他のクラスの人と話しているのを見かけるようになっていた。
どうやら中学時代までの友達と話してるみたい。


その中で、私は一つの事実に気付いた。
夏野君は腕や手に、何も付けてない。

ウチの学校の校則は緩いから、ブレスや指輪を付けている子はよく見かける。
運動部所属の子にも、手首にミサンガを巻いてる子は多い。
しかし、夏野君の両手には、指輪やブレスは勿論、ミサンガも腕時計すらも無い。

夏野君は右耳だけだけどピアスも沢山着けててオシャレだから、この事実に気付いた時は、ちょっと驚いた。
別に本人の自由だと思うから、特に質問したりもしないけどね。



「…星崎さぁ、ルーズリーフとか余ってる?」


次の授業が英語だったある休み時間、私が予習をしていたら、夏野君が小声で聞いてきた。
休み時間で周りもうるさいし、小声なんて聞き取りにくいんだけど。





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