Sweet Room~貴方との時間~【完結】
過去と現在
 2人並んでソファに座り、テレビを点けた。映った画面には、お笑い番組が流れていた。今日は私が涼太の部屋に来ている。部屋を行き来しているうちに、私物がどんどん増え、手ぶらで泊まっても何も問題ない状態になっていた。日常の生活に涼太がどんどん溶け込み、涼太の生活に私が溶け込む。付き合っていれば自然に起こることだけど、何だかこそばゆい感じがした。

「涼太、ペンション作るんだって」
「うん。高校時代の友だちの希望でね」
「奈央美は?」
「中野工房の中野先輩と一緒に、フランス料理店を手がけることになったの」

 中野という言葉に一瞬眉毛がぴくっと動いた。涼太、やっぱり気にしているんだよね。素直に元彼だと言ってしまっていた方が楽だったかも。でも、それは私が気楽になるだけで、涼太にはマイナスの感情をもっと感じさせてしまう気もする。

「フランス料理店で2つの事務所が組むって、随分大掛かりじゃないか?」
「ちょっと特殊なの。2つ並ぶ古民家をくっつけて、1つのレストランにするのよ。だから技術力の高い中野工房とデザイン関係のうちが、共同でやることになったの」

< 119 / 207 >

この作品をシェア

pagetop