気まぐれ社長の犬
例えこの脳が壊れたとしても

「響城さん、3時30分に日本に到着予定。その後4時から帝都ホテルで株式会社昭和社長と会食のご予定です」



プライベートジェットでの移動中、今日の残りの予定を淡々と伝える。

段々と肌寒くなってきた秋を迎え、クリスマスに向けて忙しさはピークに達していた。

最近はこれと言った休みもなく海外を飛び回ってばかり。

響城さんだって疲れているはずなのに表には出さないから、私だってそれを見せるわけにはいかない。

だけど海外に行くと日本よりも周りを警戒しないといけない分疲れがどんどん溜まっていっているのを感じる。



「到着まで後1時間近くあるな…少し寝るよ。お前も寝た方がいいんじゃないか?疲れてるだろ」


「今ブランケットを用意しますね。私はまだ少し仕事が残っていますのでお気遣いな…」



言い終わらないうちに、視界がぐらりと歪んだ。

近くの座席を掴んでなんとか体を支えるも、頭が痛み、目眩までする。



「どうした!?大丈夫か?」


「は、い…大丈夫です。少し目眩が…っ…するだけ、ですから」


「大丈夫そうには見えねーよ。ほら、座れ」



響城さんは私を座席に座らせ、ブランケットを持って来てくれた。

それを優しくかけると頭をくしゃりと撫でる。


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