そのうち削除
プロローグ
長方形の画面の中にいる彼女。

今はもう手の届かない存在になってしまった。


大切で。

本当に大切で。

自分なりに優しくして大事にしていたと思う。



でも今……自分の傍に彼女はいない。


『なんでお前なんだよ』


怒り、妬み、悔しさ、哀しみ……ありとあらゆる感情が胸の中で渦巻いている。

吐き出せるものならば吐き出したい、このドロドロとした感情。


だが、自分の置かれている状況を考えるとできないと思い直す。




『マジ最悪』



内心で悪態をつき、先程の行為が頭の中を駆け巡る。


何やってんだと思うが、この迷路から抜け出す方法が見つからない。


どうすれば自分は解放されるのだろう。



自らの隣で満足そうに微笑み、裸で眠る女を睨みつけた。



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