ラベンダーと星空の約束+α
弟の悩み
◇◇◇
[side 青空]
初めまして、紫の弟、青空(ソラ)です。
初めましてって言うのは変かも知れないけど、俺サイドは初なので、一応。
今日は俺の悩みを聞いて貰いたい。
今年札幌の大学を卒業し、実家に戻って来た俺だけど、夜な夜な悩まされている事がある。
その原因は姉と義兄。
俺の部屋の隣が姉夫婦の寝室だから、夜の営みがハッキリ聴こえ、正直参ってる。
姉の喘ぎ声なんて、弟にとって、苦痛以外の何物でもない。
最初はヘッドホンして音楽聴いたりしながらやり過ごしてたけど…
何で俺が我慢しなきゃならない…って話しだよな。
これがずっと続くのかと思うと、うんざりしてきた。
それで意を決し、今日は義兄さんに…
ああ、流星の事は、今は“義兄さん”と呼んでいる。
理由は「流星」と呼び捨てにして、姉ちゃんに殴られたから。
呼び方なんてどうでもいいけど、とにかく義兄さんに直談判しに行った。
ノックをしてからドアを開ける。
「義兄さん、相談って言うか、話しがあんだけど今いい?」
「ん?青空君が俺に相談なんて珍しいね。
どうした?」
義兄さんが書斎として使っている2階の端の部屋は、外国語の本で溢れている。
その部屋の中央に置いた木製デスクで、義兄さんは今日もキーボードを叩き続けていた。
義兄さんも勿論ファーム月岡の一員として働いているけど、小説家としての顔も持ち合わせている。
夏の観光シーズンには、この書斎は余り活用されないが、冬はこの部屋で過ごす時間が多い。
雑誌の連載とかしてる訳じゃないから、書きたい時に書いて、店が忙しい時は書かない。
それで結構稼いでいるみたいだし、自由な商売でいいよな。
そう言えば、義兄さんが婿入りしてすぐに、こんなことがあった…
―――――…
とある秋の日の夕食後の気ままな時間、
義兄さん宛てに掛かってきた家電を、俺が取った。