ラブレターを貴方に
ラブレターを貴方に
「あ~高橋さん、今日もカッコイイ~!」
デパートの、ファッション&メンズフロアの一角。紳士服売り場のエース、高橋さんを盗み見る私に、同僚の愛が呆れた口調で呟く。
「ハイハイ、王子様もいいけどちゃんと仕事しなさいよ?」
「わかってるって!でも、お客さん居ないんだから、仕方ないじゃない?」
愛と私は、紳士服売り場の前にある、化粧品売り場で働いている。
実は、かなり高いブランドで、お客さんもなかなか入ってこないのが現状だ。
それゆえ、暇をもて余しては、こうして紳士服を覗いている私に、『キモイ』とか、『市原悦子か』とか、頻繁に愛につっこまれているのだ。
今どきの茶髪なのに、フォーマルな服をスマートに着こなし、お客さんとも気さくに話せる、笑顔が素敵な高橋さん。
そんな彼に、一目惚れした私は、目が合っただけで、失神してしまうんじゃないかと思う程、恋に奥手な為、会話をした事など一度もなかった。
自分でも情けないが、何を話せばいいのか、全くわからない。
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