過保護な妖執事と同居しています!
13.雨降って地固まる



 動揺はおさまらない。ザクロが心配して浴室まで様子を窺いに来るかとも思ったが、それはなかった。

 私の気持ちが揺れていることは気付いていても、原因がわかっているからだろう。

 お風呂から出てもザクロはいつもと変わりなかった。変に意識されて気まずいよりはいいけど、ザクロの気持ちがわからず、なんとなく寂しい。

 灯りを消して挨拶をすると、ザクロはいつものように姿を消した。

 私はこれからどうすればいいんだろう。
 気持ちを隠して今までと変わらず架空執事と主人でいればいいの?
 それともザクロに想いを告げる?

 そうすればザクロは恋人を演じてくれるだろう。たぶん私が気に入っている小説のヒーロー、ロベールのような。

 それって虚しすぎる。

 結局結論が見いだせないまま、自分の気持ちは封印することにした。それが私もザクロも一番幸せでいられる。



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