ただ、そばにいて
□リーシュコード
水平線から、目が眩むほどの光を溢れさせて顔を覗かせる白い太陽は、
朝の静かな海を銀色に輝かせていく。
ふわりと髪の毛を揺らすそよ風を身体に感じながら、私が一心に見つめるのは。
木の葉のようなボードに乗り、穏やかな水面をまるで波と一体化したように美しく滑る男の子の姿。
時折私に顔を向け、無邪気な笑顔で手を振るその時だけは、彼が年下だということを思い出させてくれるけれど。
私は彼を、ずっと一人の“男”として見てきた。
でも、一時足りとも止まらない波のように、私に彼を捕まえることは出来ない。
こうして砂浜から、遠くの海で遊戯する彼を見つめていただけだけれど、
ただそれだけで、幸せだった。
──幸せだと、思っていた。
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