優しいカレの切ない隠し事
聖也と別れた理由


黙ったままのわたしに、聖也は小さくため息をつくと、頭を優しく撫でてくれた。

「図星だな。また言いたくなったら話して。オレは、今の彼氏との愚痴でも何でも聞くから」

「うん…」

ありがとう。

それが言いたいのに、素直になれない。

「よし!気を取り直して着替えだ。陽菜、服脱いで。オレが着せてやるから」

「えっ!?まさか、聖也って着付けが出来るの?」

「当たり前だろ?とびきり可愛くしてやるから。ほら、おいで」

「う、うん…」

きっとわたしと別れてから、着付けの勉強をしたに違いない。

なんだ…。

ちゃんと、前に進めてるんじゃない。

ホッとしたような、少しときめくような、変な気分。
< 114 / 192 >

この作品をシェア

pagetop