オレ様探偵とキケンな調査
⑥失った時間
「色々とありがとうございました」


お礼と一緒に菓子折を置いて、帯金探偵事務所を出た。


決して軽くはない足取りでそのまま家庭裁判所へ向かう途中、商店街でヒデくんを連れた明美さんに会った。


「オス」


「こんにちは」


「何?何かの調査?」


「じゃないです。信吾さんの不倫報告書をいただいたので、お別れがてら、お礼に」


「はっ!?椿ちゃん、事務所やめんの?」


「フフッ…。帯金さんの気まぐれで雇われた腰掛け探偵だから」


「えーっ!おねぇちゃん、もう遊べないのぉ?」


「うん。ゴメンネ、ヒデくん」


「これから椿ちゃんの七草粥だと思ったのになー」


「うん。スイマセン」
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