そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
◎秘密結社


次の日の朝、よほど疲れていたのか爆睡してしまい起きるともう10時。慌ててお母さんの財布を持ちレインボー不動産へ……


どうだ!と言わんばかりに、キッチリ50万をカウンターに並べ高笑い。


「いやぁ~朝早くからお支払い有難う御座いますぅ~。また物件をお探しの際は是非、当店へ」


ケッ!訴えるとかスゴんどいてよく言うよ!誰が来るか!


「今生の別れだ!あばよ!」


そう捨て台詞を残し不動産屋さんを後にすると急いで会社に戻りビルの前でイケメン弁護士をソワソワしながら待つ。10分後、11時丁度に彼の車がやって来た。


「おはよう御座います。どうぞお乗り下さい」


助手席のドアを開けながらニッコリ笑ったイケメン弁護士の白い歯が太陽の光を浴びキラキラと輝く。その爽やか過ぎる笑顔に一瞬、目が眩む。


まるでソーダ水をグラスに注いだ時に弾ける炭酸のように清々しく、眠気覚ましのミントガムのように刺激的だ。


「あの~つかぬことをお聞きしますが……弁護士先生は彼女とかいるんですか?」


いきなり直球勝負に出てみた。


「彼女?いいえ、いませんが……」


おぉ!!ラッキー!!


「……じゃあ、好きな女性とかは?」

「特にいませんねぇ」


よし!よし!よし!これは大チャンース!!


ここぞとばかりにイケメン弁護士を質問攻めにしていると、何時しか車は都心を離れ住宅街を走っていた。そして、古びた喫茶店の前で止まったんだ。


「到着しました。ここが琴音さんが経営していた『純喫茶 平安(へいあん)』です」 

「平安……?随分、渋い店名ですねぇ」

「えぇ、それでは、お店に入る前に少々、助言をさせて頂きます」

「助言?」


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