解けない恋の魔法
憧れか、一目惚れか
「朝日奈ー、ちょっと来い」
あれから見学を終えて帰っていく宮田さんをロビーでお見送りした。
事務所に戻ってくると、早速袴田部長からの呼び出しがかかる。
なにを言われるのだろう、いや……なにを問いただされるのだろう、と背中に緊張が走った。
宮田さんのことで部長が何か怪しいと思う部分があったんじゃないだろうか。
まさか、――― 秘密のことを見破られた?
「あっちで」と、指し示されたのはミーティングルームだった。
「朝日奈、お前……大丈夫か?」
「……え? なにがですか?」
怪訝な表情の部長を前に、私は冷や汗をかきながら動揺した。
今の自分は絶対に目が泳いでいる。
だって何について聞かれているのか、抽象的過ぎてわからないから余計に怖い。