お金より体力が大事?
美しい広告塔は見るだけでいい
幸鷹たちは働かないと叫んでいるトレーナーたちから話をきいた。

すると、今月に入って会員が減ってしまったことを全部、現場の従業員のせいにされてしまったらしい。


「じゃ、給料は現場に関係ない連中だけがまともに受け取っているということなのか?」


「そうです。そんなのがわかったら真面目に働けません。
僕らは他のジムを探します。」


「じゃあ、うちのジムに就職しなさいよ。」


「ちょ、ちょっと・・・小花、君は小説家でスポーツジムなんて・・・」



「さっき作ったわよ。規模はかなりちっちゃいけど。
経営スタッフはきっちりしてるわよ。そのかわり厳しいけど。」


「なっ・・・もしかして、金の力だったりする?」


「それもあるけど・・・人脈よ。おほほほほ」



「どういう人なんだ!君は・・・!」



「まぁ、ずっと座って仕事してるから、運動したいと思うこともあるのよ。」



それから、小花とスタッフたち、それから幸鷹はハミングスポーツの内情を探りながら日々を過ごした。

そして、ハミングスポーツを取り壊してパチンコ屋になるという話をきいた。



「どうして、そんな・・・。親父はそんなことぜんぜん言ってなかったのに。」


「ご説明いたします。私は小花様の事務所の経理部長をしている小日向と申します。
お見知りおきを。

で、ハミングスポーツの内情なのですが、あなたのお父様は薄々ながら内部で横領が行なわれていることをご存じだったと思われます。」


「なんだって!」


「しかし、気がつけば取り締まり役もグルになっていて、自分だけではどうすることもできなかったみたいです。
ご自分のお金とあなたに相続したいものだけ保管して、会社は沈めるつもりだったのかと思われます。」


「どうして沈めるって俺にいってくれなかったんだ。」



「おそらく、あなたの知名度や人気を使った広告塔としての役目が当たったなら、お客様が増えていい方向に向いてくれるかもしれないと思われたのかもしれません。

実際、私たちが調べたところではあなたが雑誌やポスターで宣伝していた頃は、かなりお客さんもおられたようですし、少々の横領くらいではびくともしなかったようです。
ところが時代とともに・・・」



「だんだん俺が忘れられてきて・・・だろ?
わかってるよ。俺もおっさんだからな。」



「そんなことないよ。だってまだ幸鷹さんは30になったばかりだもの。」


「あははは。なんか悲しいけどうれしいよ。小花ちゃん。」


「もう、また子ども扱いなんだからっ!」
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